米国株に集中投資しがちですが、ポートフォリオの安定性やさらなる成長を考えていますか?
本記事では、米国市場の変動リスクを抑えつつ、新たな成長機会を探る欧州株ETFに焦点を当て、主要な5銘柄を比較します。投資戦略に最適なETFを見つけるための参考情報としてご覧ください。
基本情報
※2025/07/25時点
ティッカー | VGK | IEV | EUDG | DFE | FEZ |
ETF名 | バンガード FTSE ヨーロッパ ETF | iシェアーズ ヨーロッパ ETF | ウィズダムツリー欧州株クオリティ配当成長 | ウィズダムツリー欧州小型株配当ファンド | SPDR ユーロ ストックス50 ETF |
開始日 |
2005/03/04
|
2000/07/25 | 2014/05/07 | 2006/06/16 | 2002/10/15 |
ファンドの種類 | インデックス (ACDER) |
インデックス (SPE350) |
インデックス (WTEDG) |
インデックス (WTESC) |
インデックス (SX5E) |
分配利回り | 2.89% | 2.32% | 2.12% | 4.28% | 2.43% |
経費率 | 0.09% | 0.60% | 0.63% | 0.67% | 0.29% |
純資産 | $26.87B | $2.32B | $78M | $175M | $4.85B |
投資地域 | 欧州 | 欧州 | 欧州 | 欧州 | 欧州 |
構成銘柄数 | 約1200 | 約350 | 約210 | 約300 | 約50 |
特徴 | 大・中・小型株 | 大型優良株 | 配当成長と大型優良株 | 高配当小型株 | 時価総額上位の大型株 |
上記5つのETFはインデックス連動型でパッシブとなります。
分配金利回りは5つとも結構高いですが、中でもDFEは4.00%超えと高分配金ETFとも言えます。高配当・高分配金株となると老舗の大型株が多い中DFEは小型株で揃えてきています。
経費率は、VGKが圧倒的に安いので中長期で考えているなら候補に挙がると思います。
FEZは、”ユーロ圏”が対象になるので、ユーロ圏外のヨーロッパ国は含まない点も要注意です。
パフォーマンス比較
ここでは、各ETFの実際のパフォーマンスを検証します。米国市場の代表的な指標であるSPY(S&P500)と比較しながら、欧州株ETFがどのような動きを見せているのか、長期および短期の視点から分析していきます。
ETF | YTD | 1Y | 5Y | 10Y |
SPY | 9.36% | 19.18% | 113.24% | 263.35% |
VGK | 26.62% | 20.89% | 75.08% | 98.67% |
IEV | 25.69% | 19.60% | 74.20% | 92.13% |
EUDG | 19.45% | 10.71% | 48.70% | 90.77% |
DFE | 28.56% | 21.10% | 69.41% | 80.86% |
FEZ | 27.90% | 23.91% | 86.23% | 108.97% |
基準となるSPY(S&P500)も含めて比較しました。グラフは直近1年で見ています。
長期(5Y、10Y)で見ると、SPY(S&P500)が優れたパフォーマンスを示しており、米国株の堅調さが伺えます。しかし、注目すべきは2025年に入ってからの動きです。欧州経済の回復期待や、一部で米国から欧州への資金シフトが見られたことから、YTD(2025年初来)では全ての欧州株ETFがSPYを大きくアウトパフォームしています。
ボラティリティ比較
直近1年のボラティリティの比較もしてみました。
一番ボラティリティが高いのはFEZでした。構成銘柄数や構成セクターのせいなのか他のETFに比べて値動きが大きくリスクが高め、と同時に大きなリターンも狙える可能性もあります。
小型株のDFEが意外とリスクを抑えつつ良いパフォーマンスを出しているようです。
シャープ・レシオ比較
VGK:1.22
IEV:1.16
EUDG:0.67
DFE:1.21
FEZ:1.21
EDUGだけ突出して良くないですね。他4つは同じくらいの数値で結果も良いです。
ポートフォリオ比較
セクター別
VGK | IEV | EUDG | DFE | FEZ | |
金融 | 22.23% | 22.37% | 3.61% | 14.59% | 22.87% |
資本財 | 19.43% | 19.36% | 22.19% | 28.96% | 20.68% |
ヘルスケア | 13.26% | 13.56% | 18.16% | 3.76% | 5.08% |
生活必需品 | 9.31% | 9.67% | 18.08% | 6.62% | 6.42% |
一般消費財 | 8.33% | 7.58% | 14.10% | 13.05% | 11.28% |
テクノロジー | 8.22% | 8.39% | 8.09% | 5.79% | 17.23% |
素材 | 5.20% | 5.47% | 3.96% | 7.22% | 3.69% |
エネルギー | 4.16% | 4.51% | 3.61% | 3.32% | 3.94% |
通信 | 4.05% | 3.91% | 6.82% | 5.37% | 4.58% |
公共事業 | 3.93% | 4.27% | 1.31% | 3.40% | 4.22% |
不動産 | 1.88% | 0.91% | 0.08% | 7.92% | 0.00% |
VGKとIEVは全体的に似たような構成でした。主に金融と資本財に振りつつバランス良く振り分けています。
EUDGは他と比べて金融が少ない代わりに、資本財、ヘルスケア、生活必需品、一般消費に振っている。金融は控えめにしたい場合の選択肢になりそうです。
DFEで目立つのは他に比べて不動産に8%くらいあって一番高く、ヘルスケアが少ないです。
FEZはテクノロジーへの振り分けが一番高いです。
あなたにおすすめの欧州株ETFは?
上記5つのETFはそれぞれ異なる特徴を持っています。あなたの投資目的やリスク許容度に合わせて最適な銘柄を選んで見てください。
- VGK:中長期で欧州全体に低コストで分散投資したい方
- 経費率が圧倒的に安く、構成銘柄数も多いので、欧州市場全体への安定的な投資を求める方に最適です。
- IEV:欧州の大型優良株で安定的なリターンを狙いたい方
- 市場の主要企業に投資し、比較的安定した値動きが期待できます。
- EUDG:配当成長と高品質な企業に投資したい方
- 金融セクターへの配分が控えめで、資本財、ヘルスケア、生活必需品など多様なセクターに分散しつつ、持続的な配当成長を重視する方に適しています。
- DFE:高配当と小型株の成長性を狙いたい方(中〜高リスク許容度向け)
- 4%を超える高い分配利回りが魅力。小型株中心のため値動きはありますが、高いリターンと配当を両立したい方に良い選択肢となるでしょう。
- FEZ:ユーロ圏主要50社に集中投資し、短期的な値動きを捉えたい方(高リスク許容度向け)
- テクノロジーセクターへの配分が高く、ボラティリティは高めですが、その分、短期的な上昇局面で大きなリターンを狙える可能性があります。
長期的な視点では米国株が優位な時期もありますが、今回の比較で見てきたように、市場の状況によっては欧州株が米国株をアウトパフォームすることもあります。
全世界株式ETFで一括投資するのも一つの手ですが、米国、欧州、新興国、日本とご自身で配分を調整したい場合は、各地域のETFを組み合わせる戦略が有効です。欧州株ETFをポートフォリオに加えることで、米国一極集中によるリスクを分散し、新たな成長機会を捉えることができるでしょう。
上記ETF取り扱い証券会社
※一部取り扱いが無い銘柄もあります。
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実生活をイメージしながら、資産と負債の違いや考え方も分かりやすく書かれているので、投資の基本的なことを知らない人は読んで見ると面白いとおもう。
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株投資をする人全員一度は読んでみるといいです。金利の動きを知ることは基本中の基本。
何故投資をするのか、何に投資してどのように買えばよいのか、投資資金をためるにはどうするのか、など誰でも一度は疑問に思うことを一つ一つ分かりやすく実際のデータを用いりながら説明してくれている。インデックス投資(積立)の良さを理解できます。
投資を少しでも知っている人は一度読んでみるといいと思います。いかにインデックス投資が優れているのか知ることができます。