近年戦争が多いので防衛株にも年々注目が集まってきています。昔に比べて戦争のやり方も大分変ってきているせいで、昔ながらの航空機だミサイルだのコテコテの兵器一色ではなく、ソフトウェアやサイバーセキュリティなどのテクノロジー色が強くなってきています。
また配当も高めの銘柄も多く、景気に左右されることも少ないのでディフェンシブ株としての一面もあります。
個別株はそこそこ数はあるものの、ETFに関しては日本での取り扱い銘柄が非常に少ないのが残念ではあります。今回は「SHLD」と「MISL」が国内でも取り扱われているのでこちらを比較してみました。XARやITAなどの銘柄は比較から外しています。
基本情報
早速、基本的な情報を比較してみます。
※2025/6/27時点
SHLD | MISL | |
ETF名 | グローバルX 防衛テック ETF | FirstTrust Indxx 航空宇宙 防衛ETF |
開始日 | 2023/09/11 | 2022/10/25 |
ファンドの種類 | 航空宇宙・防衛 | 航空宇宙・防衛 |
分配利回り | 0.24% | 0.54% |
経費率 | 0.50% | 0.60% |
純資産 | $2.80B | $160M |
投資地域 | グローバル | 米国 |
構成銘柄数 | 44銘柄 | 35銘柄 |
上位構成銘柄 | 8.22% RHEINMETALL AG 7.81% BAE SYSTEMS PLC 7.77% RTX 7.63% LOCKHEED MARTIN 7.55% PALANTIR 4.63% GENERAL DYNAMICS 4.51% THALES SA 4.41% L3HARRIS 4.41% LEONARDO SPA 4.40% NORTHROP GRUMMAN |
8.99% General Electric 8.85% Boeing 7.30% RTX 6.34% Lockheed Martin 6.14% Northrop Grumman 4.77% Howmet Aerospace 4.19% HEICO 3.96% Curtiss-Wright 3.71% L3Harris 3.70% TransDigm Group |
両ETFとも比較的最近開始されたETFで歴史は新しいです。
分配金はMISLの方が高く優勢だが、経費率はSHLDの方が低く優勢。あまり大きな差は無いので過剰に気にすることもないと思います。
投資対象地域に違いがあって、SHLDはグローバルが対象となっており、米国だけではなく欧州、アジアまで幅広くカバーしている。対してMISLのほうは米国のみ。どちらが良いとは言えない。米国一色がよければMISLだし、分散したければSHLDを選べばいいと思う。
銘柄数はわずかの差ではあるけどSHLDのほうが44銘柄と分散できている。
印象的にはSHLDは防衛テックという感じでハイテク感が強めで、MISLは従来の防衛という印象です。
SPY, SHLD, MISL パフォーマンス比較
ETF | YTD | 1M | 6M | 1Y |
SHLD | 58.50% | 4.76% | 57.11% | 79.64% |
MISL | 22.53% | 8.34% | 20.65% | 33.93% |
基準となるSPY(S&P500)も含めて比較しました。ただSHLDとMISLも開始してから年数が少ないので直近1年という短期間の比較となります。
こう見るとSHLDもMISLもSPYを越えたリターンを出しています。特にSHLDの伸びはかなり高いです。目に見える限りで近年ロシアとウクライナ、イランとパキスタン、イスラエルとパレスチナ、イランとイスラエル・・・など争いも多く、NATOの国防費などGDPの5%に引き上げで一致したりと、株価に影響を与えています。
ボラティリティ比較
ボラティリティの比較もしてみました。似たり寄ったりなところが多いですが、現在のところSHLDのほうが少しボラティリティが高い、つまりリスクが高いと言えます。
シャープ・レシオ比較
SHLD:3.61
MISL:1.54
両銘柄とも良いです。SHLDの方が取っているリスクに対して、リターンが大きいと言えます。
上位構成銘柄
SHLD
8.22% RHEINMETALL AG
7.81% BAE SYSTEMS PLC
7.77% RTX
7.63% LOCKHEED MARTIN
7.55% PALANTIR
4.63% GENERAL DYNAMICS
4.51% THALES SA
4.41% L3HARRIS
4.41% LEONARDO SPA
4.40% NORTHROP GRUMMAN
MISL
8.99% General Electric
8.85% Boeing
7.30% RTX
6.34% Lockheed Martin
6.14% Northrop Grumman
4.77% Howmet Aerospace
4.19% HEICO
3.96% Curtiss-Wright
3.71% L3Harris
3.70% TransDigm Group
比較すると結構違うんですよね。
上位で共通しているのはLOCKHEED MARTIN(LMT)、L3HARRIS(LHX)、NORTHROP GRUMMAN(NOC)、RTX(RTX)の4銘柄だけ。
人気のPALANTIR(PLTR)はSHLDには入ってるけど、MISLには下位にも入っていない。この部分はSHLDかMISLを選ぶかの分岐にもなりえるところだと思います。PLTRは防衛分野の銘柄でもありますが、データ分析事業を中心にAI銘柄としても情報技術色が強い銘柄です。つまりAI分野で株価が動くようなことがあれば引っ張られやすいです。
投資地域
SHLD
国別だと下記の通り
国 | 割合 (%) |
---|---|
米国 | 51.3 |
英国 | 11.8 |
ドイツ | 10.0 |
韓国 | 6.9 |
フランス | 6.4 |
イタリア | 4.8 |
スウェーデン | 4.8 |
イスラエル | 2.8 |
トルコ | 0.5 |
オーストラリア | 0.4 |
プエルトリコ | 0.1 |
その他 | 0.2 |
米国は50%以上と多いものの、欧州も30%以上もカバーしている。意外と地域分散されている。
”最近NATOの防衛費が上がっているので(略)”とか良い材料があると思えば、欧州が多く含まれているSHLDは選択肢としてアリだと思う。
MISL
米国100%なのでグラフは省略。
米国中心の視点で見てればいいシンプルなところがメリット。
業種別エクスポージャー
SHLD
MISL
MISLには「通信」という業種があるが、通信はほぼハイテク分野になるので「情報技術」と見ていいと思う。そう考えるとSHLDとMISLの業種別の割合は殆ど同じということになります。
感想
地政学的情勢に左右されやすいですが、個別株で選ぶのが難しい場合この様なETFを選択するのも手だと思います。
SHLDとMISLをのどちらを自分のポートフォリオに組み込んだ方がいいのかは自分で考えるしかないですが、SHLDの方が次世代防衛色強いので、安定性より成長性を好む人には向いているのではないかと思います。また米国以外にも欧州などの地域分散も効いているので地政学的情勢リスクの分散も出来ているのではないかと思います。
MISLの方は、米国一色に染めたい人やSHLDよりも安定感持ちたい人向けかなと思います。
宇宙防衛株選択の参考までに。
SHLD, MISL 取り扱い証券会社
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