近年戦争が多いので防衛株にも年々注目が集まってきています。昔に比べて戦争のやり方も大分変ってきているせいで、昔ながらの航空機だミサイルだのコテコテの兵器一色ではなく、ソフトウェアやサイバーセキュリティなどのテクノロジー色が強くなってきています。
また配当も高めの銘柄も多く、景気に左右されることも少ないのでディフェンシブ株としての一面もあります。
個別株はそこそこ数はあるものの、ETFに関しては日本での取り扱い銘柄が非常に少ないのが残念ではあります。今回は「SHLD」と「MISL」が国内でも取り扱われているのでこちらを比較してみました。XARやITAなどの銘柄は比較から外しています。
基本情報(2026年2月17日時点)
| SHLD | MISL | |
|---|---|---|
| 正式名称 | グローバルX 防衛テック ETF | FirstTrust Indxx 航空宇宙 防衛ETF |
| 設定日 | 2023年9月11日 | 2022年10月25日 |
| 経費率 | 0.50% | 0.60% |
| 配当利回り | 0.49%(TTM) | 0.35%(TTM) |
| 純資産 | $6.89B | $1.49B |
| 構成銘柄数 | 49銘柄 | 38銘柄 |
| 投資地域 | グローバル(米51%、欧33%) | 米国100% |
| 1年リターン | +77.43% | +62.45% |
| シャープレシオ | 3.07 | 2.71 |
両ETFとも比較的最近開始されたETFで歴史は新しいです。
分配金はMISLの方が高く優勢だが、経費率はSHLDの方が低く優勢。
投資対象地域に違いがあって、SHLDはグローバルが対象となっており、米国だけではなく欧州、アジアまで幅広くカバーしている。対してMISLのほうは米国のみ。米国一色がよければMISLだし、分散したければSHLDを選べばいいと思う。
銘柄数はわずかの差ではあるけどSHLDのほうが44銘柄と分散できている。
印象的にはSHLDは防衛テックという感じでハイテク感が強めで、MISLは従来の防衛という印象です。
バリュエーション
PER(株価収益率)の比較:
| 指標 | SHLD | MISL | 意味 |
|---|---|---|---|
| PER | 28.78倍 | 35.72倍 | SHLDの方が24%割安 |
| PBR | 5.26倍 | 6.63倍 | SHLDの方が26%割安。両ETFとも高PBRだが、防衛企業は無形資産(技術・契約)が大きいため妥当 |
PER 28.78倍 vs 35.72倍の本質的な意味:
SHLDの方が割安な価格で買える。
これはSHLDのグローバル分散(欧州企業のPERが低い)が効いている可能性があります。米国防衛企業(MISL)は高PERで取引される傾向がありますが、欧州防衛企業(Rheinmetall、BAE等)はより低いバリュエーションで取引されています。
SPY, SHLD, MISL パフォーマンス比較
| ETF | 6M | 1Y |
| SPY | 6.73% | 13.31% |
| SHLD | 26.22% | 77.43% |
| MISL | 16.57% | 62.45% |
基準となるSPY(S&P500)も含めて比較しました。ただSHLDとMISLも開始してから年数が少ないので直近1年という短期間の比較となります。
こう見るとSHLDもMISLもSPYを越えたリターンを出しています。
2025年後半から2026年初頭にかけてMISLが急追した理由
1. Boeing(MISL 8.22%保有)の反発
- 2025年後半、Boeingの737 MAX問題が一定の解決を見た
- 商業航空需要の回復期待
- MISLはBoeingを大きく保有、SHLDは保有なし
2. GE Aerospace(MISL 8.04%保有)の急成長
- 商業航空エンジン需要が回復
- SHLDはGE Aerospaceを保有していない(GDは保有)
3. 米国防衛株全体の再評価
- トランプ政権の$1.5兆防衛予算への期待
- MISLは米国100%で恩恵を直接受ける
しかし、これは長期的にも続くのか?
重要な視点:MISLのキャッチアップは「商業航空の一時的回復」に依存している可能性が高い。
なぜSHLDが圧勝したのか?
1. 地政学的な追い風を完璧に捉えた
2025年は防衛株にとって「完璧な年」でした:
- ウクライナ戦争継続
- NATO防衛費GDP比3.5%目標で一致
- 中東緊張(イスラエル-イラン)
- 台湾リスク継続
SHLDはグローバル分散(米51%、欧33%)により、この全ての追い風を捉えました。
一方MISLは米国100%なので、欧州の防衛費急増(ドイツ等)の恩恵を受けられませんでした。
2. PLTRという「AI×防衛」の爆発を取り込んだ
- SHLD:PLTR 7.55%保有
- MISL:PLTR保有なし
PLTRは2025年に売上+70%、株価急騰しました。SHLDはこの恩恵を受け、MISLは受けませんでした。
3. 「次世代防衛テック」の時代が来た
従来型防衛:戦車、戦闘機、ミサイル
次世代防衛:AI、サイバーセキュリティ、ドローン、データ分析
SHLDは次世代に重点を置き、MISLは従来型に偏っています。市場は2025年に「次世代」を選びました。
ボラティリティ比較
ボラティリティの比較もしてみました。似たり寄ったりなところが多いですが、現在のところSHLDのほうが少しボラティリティが高い、つまりリスクが高いと言えます。
シャープ・レシオ比較
SHLD:3.07
MISL:2.71
両銘柄とも、凄まじく高いです(良い)です。直近で見るとSHLDは下げ気味、MISLのほうが上昇しているのが分かります。
一般的に「高リターン = 高リスク」と考えられますが、SHLDは違います。
SHLDは「高リターン、中程度のリスク」を実現しています。
理由:
- グローバル分散でリスクヘッジ
- 米国と欧州の2つの成長エンジン
- 一方がコケても、もう一方でカバー
MISLは米国のみなので、分散効果が弱く、シャープレシオが低くなっています。
上位構成銘柄の本質的な違い
SHLD
- 9.03% – Lockheed Martin(米国)
- 7.78% – RTX(米国)
- 7.24% – Rheinmetall(ドイツ)
- 6.96% – General Dynamics(米国)
- 5.92% – Palantir(米国・AI)
- 4.65% – Northrop Grumman(米国)
- 4.57% – L3Harris(米国)
- 4.56% – Hanwha Aerospace(韓国)
- 4.35% – BAE Systems(英国)
- 4.35% – Saab(スウェーデン)
MISL
- 9.45% – Lockheed Martin
- 8.53% – RTX
- 8.22% – Boeing
- 8.04% – GE Aerospace
- 7.65% – General Dynamics
- 4.57% – Howmet Aerospace
- 4.48% – Northrop Grumman
- 4.08% – L3Harris
- 3.77% – HEICO
- 3.69% – TransDigm Group
本質的な違い
共通点: LMT、RTX、LHX、NOCの4銘柄のみ
SHLD独自:
- 欧州防衛企業(Rheinmetall、BAE、Thales、Leonardo)
- Palantir(AI×防衛のハイブリッド)
MISL独自:
- GE Aerospace(商業航空機エンジン)
- Boeing(商業航空機メーカー)
戦略の違いが明確です:
- SHLD = 純粋な防衛テック(戦争需要に直結)
- MISL = 航空宇宙全般(商業航空も含む)
MISLのGEとBoeingは商業航空機事業も大きいため、民間航空需要(景気)に左右されます。SHLDは純粋に防衛需要のみに集中しています。
地域分散の意味
SHLD
SHLD 地域別構成
| 地域 | 割合 |
|---|---|
| 米国 | 51.3% |
| 欧州合計 | 33.2% |
| – 英国 | 11.8% |
| – ドイツ | 10.0% |
| – フランス | 6.4% |
| – イタリア | 4.8% |
| – スウェーデン | 4.8% |
| 韓国 | 6.9% |
| その他 | 8.6% |
MISL 地域別構成
米国:100%
「グローバル分散はリスク」という誤解
SHLDは2つの独立した成長エンジンを持っている。
成長エンジン1:米国(51%)
- トランプ政権:$1.5兆防衛予算(2025年の約2倍)
- 「Golden Dome」ミサイル防衛
- 中国・台湾への抑止力
- ベネズエラへの軍事関与
成長エンジン2:欧州(33%)
- NATO防衛費GDP比3.5%目標(2035年まで)
- ドイツ:GDP比5%への引き上げ提案
- ラインメタルの受注残が史上最高
- ウクライナ戦後の再軍備需要
2つのエンジンが独立して動くため、片方が失速してももう片方でカバーできる。
一方、MISLは米国100%なので、トランプ政権の方針転換一つで大きく揺れます。
Palantir(PLTR)を含むことの戦略的意味
多くの記事の見方
「PLTRはAI銘柄なので、AI市場の変動に引っ張られやすい。リスク要因」
本質的な分析
PLTRは「AI×防衛」のハイブリッド企業です。
PLTRの収益構造
- 政府部門:売上の55%(国防総省、CIA、FBI等)
- 商業部門:売上の45%(企業向けAIプラットフォーム)
つまり:
- 防衛需要が増えれば → 政府部門が成長
- AI市場が盛り上がれば → 商業部門が成長
両方の成長ドライバーを持っているのが強み。
トランプ政権の全面支援
2026年、トランプ政権はPLTRに対して:
- 国防総省のデータ統合プロジェクトを発注
- AI国防戦略の中核企業として位置づけ
- 規制緩和で商業展開を後押し
SHLDがPLTRを7.55%保有していることは、「リスク」ではなく「戦略的な強み」です。
2026年の懸念:ウクライナ和平でも成長は止まらない
よくある誤解
「ウクライナで和平が成立したら、防衛株は終わり」
本質的な分析
和平でも防衛支出は止まらない理由
1. 欧州の意識変革
ウクライナ戦争で欧州は「自分の国は自分で守る」と目が覚めました。この意識は和平後も消えません。
2. 戦後の再軍備需要
- 消耗した弾薬・装備の補充
- ウクライナへの復興支援(装備提供)
- NATOの東側拡大(フィンランド、スウェーデン加盟)
3. NATO GDP比3.5%目標は2035年まで継続
ラインメタルCEOの発言:
「ウクライナで和平が実現しても、欧州とグローバルの脅威シナリオは冷戦終結以来最高水準。2035年までのGDP比3.5%目標は変わらない」
4. 中国・台湾リスクは継続
ウクライナが落ち着いても、台湾海峡の緊張は続きます。米国の防衛費は削減されません。
市場は「和平 = 防衛株の終わり」ではないと理解しています。
業種別エクスポージャー
SHLD
MISL
MISLには「通信」という業種があるが、通信はほぼハイテク分野になるので「情報技術」と見ていいと思う。そう考えるとSHLDとMISLの業種別の割合は殆ど同じということになります。
実践的な投資判断
あなたがSHLDを選ぶべき条件
- グローバルな地政学リスクに分散したい
- 次世代防衛テック(AI、サイバー等)に期待している
- 高いリターンを求めている
- PLTRのAI×防衛戦略に賛同できる
- ウクライナ和平後も防衛需要は続くと考えている
あなたがMISLを選ぶべき条件
- 米国一本に集中したい
- 従来型の防衛企業が好き
- 商業航空需要の回復にも賭けたい
- ボラティリティを少し抑えたい
SHLD, MISL 取り扱い証券会社
※一部取り扱いが無い銘柄もあります。
おすすめ投資・金融本
投資初心者向け。複利や投資について物語をベースに書かれていて、イメージしやすく面白い読み物。
実生活をイメージしながら、資産と負債の違いや考え方も分かりやすく書かれているので、投資の基本的なことを知らない人は読んで見ると面白いとおもう。
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株投資をする人全員一度は読んでみるといいです。金利の動きを知ることは基本中の基本。
何故投資をするのか、何に投資してどのように買えばよいのか、投資資金をためるにはどうするのか、など誰でも一度は疑問に思うことを一つ一つ分かりやすく実際のデータを用いりながら説明してくれている。インデックス投資(積立)の良さを理解できます。
投資を少しでも知っている人は一度読んでみるといいと思います。いかにインデックス投資が優れているのか知ることができます。









